若葉の繁る頃に

しがないアイドルオタクの備忘録とチラシの裏書き。「なんとかなる」人生を送るのが目標です。

#12 スピッツが教えてくれた日常の大切さ


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気付けば既に7月。

2021年もついに下半期を迎え今年もジメジメとした夏が始まったが、コロナは未だに収まらない。ワクチン接種こそ進んでいるものの、僕は副反応の怖さから暫くは敬遠しようと考えている。湿気で夜も眠れない梅雨シーズンと午前中の気圧に頭を抱えながらも6月は充実の日々を過ごす事が出来た。

6月はミーグリに毎週参加したせいでTwitterではほぼその話しかしていなかったが、1日だけでも非常に充実感満載だった出来事があった。

 

スピッツのライブを観に行った事である。

 

今年4月、スピッツ公式から吉報が届いた。

「ホール公演の中止を受けて、新たに感染拡大防止ガイドラインに沿う形でアリーナツアーを開催します。
タイトルは『SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 “NEW MIKKE”』です。
SPITZ JAMBOREE TOUR 2019−2020 “MIKKE”』のアリーナ公演開催がなかったエリアを中心にスケジュールを組みました。」

ツアーに関するお知らせ | SPITZ OFFICIAL WEB SITE

 

休日の昼下がりに何故かまだ当選した訳でもないのに雄叫びを上げた。この状況下で気軽にライブをする事が出来ない中、大きな決意を固めてくれた事に感謝しつつ、横浜公演の金・土曜の2daysに応募した。

結果金曜のみ当選したが、競争が激しい中ほぼダメ元で応募した上で当選できた事に驚きを隠せなかった。勿論席云々の話は二の次である。

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当日、チケット片手に向かったぴあアリーナMMには既に多くの人で賑わっていた。この日はツアー初日。参加するスピッツファンはみな嬉々とした表情を浮かべており、かくいう自分もその一人である。人々の生活を脅かした憎きウイルスは未だ無くならないが、この状況下でライブが出来るという喜び、そしてそんな特別なライブツアー初日に当選した喜びを参加する誰もが顔に表れていた。

チケットには整理番号しか書かれていなかった為、席は当日に現地で発券される整理券の番号から初めて分かるシステムである。僕にとっては会場に入れるという特権を得ただけで満足しているのでそれ程気にしていなかったのだが、引き当てたのは1階真中の右側。彼らの表情を確認するには十分な場所で既に今年のくじ運を使い果たした気分になった。物販で購入したTシャツに着替え、スマホをいじりながら刻一刻と近付くその瞬間を待った。

 

ライブ開始。ステージ上には既に50代を超えている4人のおじさん達が楽しげに演奏していた。田村さんはステージ上でこれでもかという程暴れていた。僕はそんな彼らが大好きだ。MCでのゆるい雰囲気で肩の荷をスッと下ろしつつ、透き通ったセクシーな歌声と共に心地よい旋律が流れてゆく。しかし心地よさだけでなくパフォーマンスで目でも楽しませてくれる。僕にとっての音楽のバイブルは間違いなく彼らで小学生の頃から好きなのだが、深すぎる歌詞は勿論草野マサムネのどこか変態的(良い意味で)なミーニングを込めた表現は未だに解釈できない。いや解釈できなくて良い。それがスピッツの楽しみ方であるから。

MCではスピッツと横浜の関係性やWOWOWでの特集の話、コロナによってライブが出来ていなかったメンバーの苦悩を話していた。日本に限らず世界でもファンが多い人気バンドでもコロナの大打撃を受けている真実を知る事ができたと共に、そんな中でも明るい話題を作って久々のライブツアーを幸先よくスタートさせ、この状況でも前向きに考えるメンバーの姿勢に終始感動。そんな彼らを好きになって良かった。そしてこんなにも素敵なバンドを好きになるきっかけを作ってくれた両親に感謝。

 

ライブが終わった時の高揚感は心の奥底に溜まった濃霧を一気に晴らせてくれた。そして当たり前だった日常が無くなってしまう残酷さというものを改めて味わう事の出来た貴重なライブであった。未だこのコロナ禍は止みそうにない。街や電車での人混みは嫌いだがライブ会場での一体感が楽しめる人混みは大好きな自分にとっては、一刻も早くこの状況から脱してほしいという想いの他無い。パラパラと小雨が降る横浜の中心地で空を仰ぎながらささやかな祈りを込めた。